ふるえが過ぎれば


夜空に見えた妙な物
やけに白く光るモヤのような
それは明るく暗く大きく小さく

変化しつづけて印象を残さない
一時としてその姿を保っていない
あまりに奇妙な気分が涌いてきた

次にそれへ恐怖を抱いた
なぜならそれにはたしかに意思が感じられたから
なぜならそれは善意とは思えなかったから

まるで夢のような非現実感を持っているのに
強烈な存在感で迫ってくる
ここから逃げ出したいと心から思った

ふと気がついた認識した
それはただの雲を通して見た満月
なんてことはない枯れススキ

だけど今までたしかに今まで
自分はそこに捕まっていたのだ
だがそこから逃げ出したのだ

恐れが消えただけで手の内から抜けられる
でもそれは今だけではないと
自分だけではないと




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