片道の季節


体中汗まみれで登った山
アリだけを見つめて過ごした日
いつまでも終わらないと思っていた
熱に浮かされたようなあの季節

すぐに破けた虫取り網
野原に満ちていた青い匂い
まばたきのような一日
永遠のような一月

墓地で立ち昇る線香の煙
朝から晩まで聞こえた虫の音
歩いてなんかいられずに
走れるだけ走ったあの時

空全面に燃える夕焼け
ゆっくり冷えるアスファルト
本当に大切だった時間は
惜しげもなく流れ去った



 この詩は1月下旬に開催された「詩人コロセウム」参加作品です。思った以上に良い評価を頂きました。
 ReadingStationで行われて、現在でも閲覧可能です。

ReadingStation
http://www.readingstation.ddo.jp/




上の階層にバック

ホームに戻る