それは私の世界


「彼」のことが信じられない
私の心は疑いで満ちている、他に頼る人もいないのに

なぜ私にとって唯一人の「彼」を疑わなければいけないのか?
理由はつけられない、「彼」を信じるのに理由が使えないように
「彼」から離れれば私は暗闇の中でか細く泣くしかない
あまりに近すぎて、あまりに遠すぎて見えない私のすべての「彼」

他にいないから、比べられないから
だから私は「彼」に身をゆだねられないのか

過去なんて何一つ思い出せない
未来なんてまったく見えない
現在は両側から無限に小さく押しつぶされてゆく
逃げ場所なんてどこにもない

「彼」を見つめる私の瞳は澄んではいない
「彼」に見せられるほど私のカラダは綺麗じゃない
涙だけが目からあふれる
泣き声だけが胸からもれる

「彼」に一歩踏み出すことが怖くて出来ない
意気地なしの自分はどこまでも私そのもの
本当の私なんて無い、汚い自分を見たくないだけ
でも他人は私を救えない

そして私はひとりぼっちで歩きつづける
どこにも続いていない何も無い道を
泣きじゃくる私の声だけが響きわたる道を




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