鉛の下で


静かに落ちる霧雨の中
ボクは苗を植えている
静かに落ちる霧雨の中
周りで虫が死んで行く

ジージーとすすり泣く放電の音
荒くれ者の怒鳴り声
虚ろな目をして煙を吸う人
遠くで子供の断末魔

静かに落ちる霧雨の中
ボクは苗を植えている
静かに落ちる霧雨の中
だんだん人が消えていく

ボクが植えている物を知る人はわずか
誰もがありふれていると思いこんでいるありふれていないもの
いつのまにやら丸薬が落ちる
注意しててもいつしか落ちてる

静かに落ちる霧雨の中
ボクは塔へと歩き出す
静かに落ちる霧雨の中
ボクはゆっくり冷えてゆく

ぼやけた鉛の天井の下で
ぼやけた鉛の空の下で




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