バレンタインの悲劇
2002/02/14





 今日は2月14日。バレンタインデーです。
 この日を知らない人はいませんね?
 そう、

 歩兵戦車マーク3バレンタイン(イギリス)

の日です。

 第二次大戦初期の英国戦車は「重くて走らない」「軽くて弱い」かのどちらかしかなかったのですが、バレンタインはその中にあって高い水準でバランスがとれた名戦車です。ただ生産性が悪いのがネックなんですけどねぇ……。


 って、そういう話ではないです。


 私もバレンタインデーには嫌な思い出がある人間ですので、ついついボケてしまいました。
 いや、今まで一度も貰ったことがないというわけではないのですよ。そういうことならちょっと寂しいだけで、そんなに嫌な思い出ではありません。
 ではなにがあったのか?




 ――そう、それは私がまだ中学生だった頃。密かに想っていた同級生の女子からチョコレートを貰ったのです。
 それは綺麗にラッピングされていましたが、たとえそんなものがなくても、私にとってはそれが天上の財宝であるかのように見えました。

 「義理だからね、義理だからねっ!」

 と、贈った彼女はしつこく繰り返していましたが、その態度も凄く可愛くて、あの時は本当に幸せになったものです。
 チョコはなかなかの量がありましたが、その日の晩にすべて食べつくしました。ちょっと無理して。


 そして翌日。私は弾んだ気持ちで登校しました。
 彼女に会ったら、まず一番にお礼を言おう。「昨日はありがとう」かな、それともいきなり「おいしかったよ」と言うべきか。
 そんなことを考えながら学校への道を歩いていました。  そして学校で、朝に出会った彼女は一番にこう言いました。




 「昨日あげたチョコ、予定が変わったから返して」



 ……その表情はしれっとしていて、さほど悪気があるかのように見えませんでした。
 既に食べてしまった旨を伝えると、顔をしかめて「じゃあいいよ」と残して去っていきました。

 私はその日、放課後に校舎の片隅でボンヤリとたたずんで、いつまでもいつまでも帰らなかった記憶がこの思い出のラストシーンです。




 しかし、女性って酷いですよね?
 予定が変わったというのはいったい何よ?

 今思い出しても、そう叫びたくなります。それ以来、この日に良い感情を抱けなくなったのは言うまでもありません。




 豆知識ですが、2月14日はドイツでは「運命の日」だそうです。







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