宇多田ヒカル
「ケーニヒスティーゲル」

2001/06/27





 第二次世界大戦――史上最大の戦争となったこの戦いにおいて、  初めて戦車は陸上の主役として大きな働きをしました(※1)
 そして、当時から現在にいたるまで、戦車の価値はいささかも変わっておりません。

 ですが、第二次世界大戦にのみ現れて、そのまま消えていった戦車のカテゴリーがあります。

 それは……重戦車

 機動力や重量軽減などを一切無視して、最高の攻撃力と防御力を併せ持つという、まさに矛盾が具現化したかのような戦車です。
 重戦車を撃破するには膨大な戦力を投入しなくてはならず、わずか数両(時にはたったの1両)の敵重戦車がいるために、1つの軍の進撃が何日もストップしてしまうなどということもあったくらいです。

 それくらいの力を誇った重戦車ですが、あまりにコストがかさむために、世界大戦後は姿を消してしまいました。

 有名な重戦車としてソ連軍のKV2やJS3、アメリカ軍のパーシング、日本軍の5式中戦車(未完成)などがありますが、その中でももっとも強く有名な重戦車があります。

 それは、ドイツ軍のケーニヒスティーゲルです(正式名ティーゲル2)。

 「虎の王」の意味の名を持つこの重戦車は、当時世界にあったいかなる戦車よりも強く、 これを倒すためには空軍または砲兵の支援を要請するか、数十倍の数の戦車で一斉攻撃するしかありませんでした。


 重戦車……それはあたかも恐竜と同じように、今は滅びてロマンの中にしか存在しないものなのです。








 ――で、ですね。なんか突然話は変わるようですけど。
 宇田多ヒカルの歌に「CAN YOU KEEP A SECRET?」(キャン・ユー・キープ・ア・シークレット)って歌があるんですよ。
 ……私はこの歌を始めて聞いたときに、 「キャンユキープア、シークレット」が「ケーニヒスティーゲル」に聞こえたのです。
 ええ、今聞くと「どういう耳だ!!」ってツッコミたくなりますけど。
 一瞬勘違いしましたよ。重戦車の歌だと。
 だって、歌詞の中に「近づけないよ」とか「悲しくなるよ、君がいるから」とかいうのがありましたし。
 正しくは「近づきたいよ」「悲しくないよ、君がいるから」でしたけど。
 途中に入る英語の「Hit it off like this」(訳・このように仲良くやります)も、  「Hit it off like death」(訳・類似の死からそれを打つ)に聞こえましたし。
 どうなってるんでしょうか?私の耳。


 ついでに替え歌を作ってみましたの。運悪くケーニヒスティーゲルに出会ってしまった戦車の悲哀を歌ったものです。
 元の歌を知っている人は歌ってみてください。ヤな気分になれます。



ケーニヒスティーゲル


近寄れないよ 君の射界(※2)
おとなしくなれない?(※3) ケーニヒスティーゲル

Hit it off like death
Hit it off like death, oh beby(×4)

ここからずっと送っている暗号を
君はまだ解読できてない
Come on

近づこう、やめよう
このまま隠れてよう
逃げ切れなくなるまで
突っ込もう、だめだよ
まだ戦えそうだもの

近づけないよ 君の射界に
おとなしくなれない? ケーニヒスティーゲル
悲しくなるよ 君がいるから
ケーニヒスティーゲル
ケーニヒスティーゲル

近づけないよ 君の視界に
すぐに火を吹く砲 ケーニヒスティーゲル
悲しくないよ ヤーボ(※4)を呼ぶから
ケーニヒスティーゲル
oh このまま 死に行ける



 ……まあ、こんな替え歌を作るために、わざわざ定価でCDを買ってきた私もどうかとは思いますが。












※1 戦車は第一次世界大戦の時に登場したが、その真価を発揮したのは第二次世界大戦から。

※2 射界とはつまり、障害物などで遮られずに弾の届く範囲。

※3 おとなしくなれない?……無茶な相談である。

※4 ヤーボとはヤークトボンベル(ドイツ語で戦闘爆撃機の意)の略。戦車に限らず、陸戦兵器の天敵だった。 









 翻訳協力 エキサイト翻訳コーナー(笑)
 なんかとっても詩的な響きのする言葉に訳してもらいましたが、本当に正しいんですか?







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